2013/06/10

コメにつく虫

以前、知人から聞かれました。
「コメに虫がつくのは、それこそが無農薬の証拠だって言われたけど本当か?」
もちろん、そんな訳ありません。農薬を使ってようがいまいが、保管次第で虫はつきます。というか、今どき虫がつかない位に農薬が残留しているコメなど普通ないでしょう。

この知人は、農家から新米ということで買ったコメから糸で綴ったような虫の巣を見つけたため、本当に新米かと訝しんで確認したところ、上のようなことを言われたそうです。
確かに、収穫時期から見て虫が巣を綴るには早いかなと思えるタイミングでしたが、新米だというのは多分嘘ではない。想像するに、単にこの農家のタンクの清掃が行き届いてなかったのでしょう。隅に去年のコメと虫の巣が残っていた、それが今年のコメと一緒になって出てきたのだと思います。

一方、別の話になりますが、先日同業者との立ち話から。
この業者は、とある病院の厨房にコメを納品しています。ある日、「虫が出たすぐに来てくれ」と電話で呼び出しがあり、片道1時間かけて駆け付けたとのこと。行ってみると、ハイザーの中にコクゾウムシが一匹いたそうです。どこで入ったのか、納品時に既に袋の中にいたのかどうかは不明でしたが、とにかくその分のコメを交換して帰ったそうです。

まあ、ほっとけばコメには虫がついてしまうのです。どんなに厳重に防除しても絶対にゼロとは言い切れません。連中はちょっとした隙にでも入り込んで、卵を産みつけます。すでに農家から出荷される米粒の中に穴をあけて潜んでいることもあります。とくにこの季節は活動も活発になります。

最近TVで米びつ用の防虫剤のCMも見かけます。天然成分使用とのことですが、それを言うなら虫そのものや虫の排泄物も天然成分だったリするわけで・・・。
お勧めできる方法は、愚直に物理的に防ぐということです。

  • 米びつやハイザーは定期的に空っぽにして隅々を拭き取る。特にハイザーでは部品の裏側に巣を作られることがあり、ひどい場合は分解しての清掃が必要になる。
  • なるべくなら、コメは密閉できる容器に入れて虫の侵入を防ぐ。
  • コメや粉、麺をこぼしたままにしておかない。
  • コメは1カ月程度のうちに食べきれる量で購入する。
  • 米びつだけでなく、周辺も清潔に。
  • 隙間を好むので、丁寧にチェックすること。


ところで、昔々の時代にはコクゾウムシもタンパク源として一緒に食べていたなんて説もあります。コクゾウ、メイガの幼虫、コクヌストモドキなどのコメにつくムシは食べても害はないという人もいます。が、それは害があるということが示されてないというだけで、安全だと言い切れるものでもありません。なにより、気持ち悪いですから・・・。

まあ、消費者の方はあまり気にしすぎるのもどうかと思いますが、一方、商品として販売する側は流通業者、農家の別なく覚悟して闘い続けなければならない問題です。


ちなみにどんな虫がコメにつくのか、下記リンク先がわかりやすいです。
食品総合研究所:食品害虫サイト