2014/06/21

ダンピング合戦と産地偽装のニュースと

じつに半年以上、このブログを放ったままでした。
書きたいことがないわけでもなかったのですが、どうも書くタイミングを逸したりしてた次第です。

今の状況をざっとみるに、新米シーズンが近づいてるにもかかわらず、25年産の消化が進まない。さらには糖質抜ダイエットなんてコメ関係者にとってはテロ行為のような言説も流布される。10月末の持ち越しは60万トン、過剰米対策35万トンを引いても25万トンが残るなんて予測も聞きます。
宅配Y社の強気の値上げや、某牛丼チェーンでのアルバイトの反乱など、これまでの歪なバランスを修正するような動きが報じられましたが、コメに関しては情けないというか、辛いというか。
そんなわけで、ここ1、2カ月でますます酷くなっているダンピングの件などからブログ再開しようかと。

他の業界と同様に、刹那的で暴力的なダンピングは九州方面からやってきます。特にこの時期、もう来月には南九州の早期米が収穫されるため、倉庫を空けておかなければならない事情が元来のダンピング気質に加わるのです。

元はといえば、需要を上回ることが分かっているのに行われる過剰な作付け。しかし、無駄な生産の責任は生産者がとっているのかといえば、そうとは言い切れない。たとえば、このダンピングも、生産者の処分売りもあるでしょうが、流通業者の損切りが大きいのでは。JA直売の値下げもあるでしょうが、民間ほどのヒリヒリした感じはないのかと。全農価格に至っては反応が鈍いというか、どこか他人事という風でもある。
というわけで、過剰な生産の尻拭いをさせられてるのは悲惨な流通業者というのが私の解釈です。

まあ、それでも、事情があるにせよ、捌ききれない仕入れをした業者の自己責任ではあります。しかしそれだけで済まないのが問題で、損を出して処分する業者が出れば、その周辺で堅実に仕入れて経営してきた業者までが巻き込まれてしまうわけです。馬鹿な仕入れをした業者が一人沈むなら仕方ないけど、周りの業者の足を引っ張りながら巻き添えにしてゆくという状況があります。

そんなコメ余りのさなかに目にしたニュースです。

大手のモールでは激安米を売りにしていたようです。

産地を偽りながら低価格を売りにしていたわけで、競合する業者はアンフェアな価格競争を強いられていたことになります。消費者、コメ業界のどちらから見ても、とてもじゃないが許せない行為です。

あと一つ、某サイトでのカスタマーレビューを見て思ったこと。
消費者の皆さんは、コメはいくらでも安くなる、タダに近くなると思っているのかもしれません。が、実際には生産者の資材・労賃・機械・燃料等に加え、運送する段階での燃料・車両・労賃、搗精する段階での光熱費・機械・包材・労賃・倉庫での保管などなどのコストがかかっています。
理屈の上では農地の集約や品種の選択、作業手順の効率化で、玄米1俵を1万円未満で販売してもやっていけるようなことが言われていますが、現時点でほとんどの農家、つまり消費のボリュームゾーンを支える農家の生産コストは理想的なモデルからは程遠いのです。

激安であればそれなりのモノになる(中米や砕米が多い、粒が揃ってない、古米臭がするなど)のは当然で、10kgで3,000円切りながらマトモなものを欲しがるのは、現状では、失礼ながらムシがよすぎると申し上げたい。
しかし、実際には10kg3,000円切りながらマトモな商品も大量に、当たり前のようにして出回っています。それらの商品は、生産者から販売者の間のどこかの段階で誰かが血を流していることを理解していただきたい。生産者かもしれない、流通業者かもしれない、誰かの怨念がこもった価格です。
なんて言ったら、ちょっとおどろおどろしいでしょうか。