2014/12/09

鼻白むニュース

 半月くらい前にみた、テレビのローカルニュース。
 要約すると、

  • 今年のコメ価格は全国的に大幅に下がったが、農水省の統計によれば、当県内の下落幅は近隣地方内で最も少なく、結果として地方内では最高値となった。
  • その理由について、農水省は「品質の高いコメ作りによる販売先の確保に加え、地域の需要に見合った生産量の作付けが、価格低下を回避」と分析している。
 という内容。

 ここの発表を基に、農水省からもらったコメントを付けてつくったニュースですね。前半まではなんてことなく聞き流してました。「やはり、当県内産のコスパは悪いよなあ。」なんて思いながら。 
 しかし、後半の説明がなんとも鼻白む。だいたい、いくら農水省が発表した統計についてであっても、価格の理由について農水省なんかに聞いてもわからんでしょう。聞かれた方も、仕方なしに、なんとなく恰好がついて当たり障りのない回答をするしかない。

 何が鼻白むかといえば、このニュースをみたちょうど前日、取引のある業者から電話があり、県内産精米についてスポットでどこか使ってくれるところはないかと、かなりのダンピング価格を提示しながらの問い合わせがあったばかりだったからです。
 縁故米シーズンということもありますが、特に今年はスーパーが安売りしてもコメが動かない、裏にはコメがあふれてるとも聞きます。けどスーパーも特売しなきゃならないし、精米年月日は新しくなければいけない。店頭に出せない売れ残りはさらに膨れる。そんなコメが業務用にダンピングされていくわけです。


 また、いまだに24年産の県産米もけっこう残っているとも聞きます。

 確かに、「販売先の確保」という部分は、まるっきりハズレとは言えないでしょう。ただし、学校給食や病院、施設に対する市町村会議員等有力者による強い営業力に頼ったものであったり、卸売業者への押しつけであったり。消費地での売れ行きを無視すれば、確かにJAグループから民間業者への販売は出来ているといえるでしょう。しかしそれは、実際にコメを食べる人に支持されての結果とは思えません。
 品質や味は二の次、三の次で、とにかく地産地消のスローガン、政治力で売るという姿勢がいまだ根強く残っているのです。これには権威に弱い県民体質というのもあるのでしょう。地産地消というより地縁血縁といった方がいいかも。
 これでは、正しい意味での「需要に見合った生産量」とはいえないと思えます。

 そして、「品質の高いコメづくりによる販売先の確保」という部分。
 これこそ、当たり障りのない意味のない言葉でしかないのですが、しかしこれを聞いた県内生産者が勘違いするならば、むしろ有害ですらあります。
 生産者間の本当の競争、淘汰が始まろうかというこれから、品質の向上あるいはコストの削減へと、それぞれの方向へますますレベルアップしていくだろう有力生産地との力の差が、さらに広がっていくのではないかとの危惧を感じます。
 一体、このニュースは、なにが言いたかったのか、誰に向けたものだったのか。テレビのニュース番組のお得意様である、農村の老人生産者の自尊心をくすぐるためだったとしたら悲しい話です。

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