2017/11/18

29年産の高騰について

コンビニ等でおにぎり値上げのニュース。
おにぎり値上げ 業務用米高値 価格に転嫁 コンビニスーパー

リンク先は日本農業新聞の記事がヤフーニュースに転載されたものです。
けっこうな量の読者のコメントがついており、関心の高さが感じられます。コメントのごく一部しか目を通してませんが、コメ業界、消費者、生産者との三者間の認識の違いも面白いです。

米穀店的には当然に予想された値上げですが、コメが高騰している事実を知らない消費者が多いこと、コメが売れない問題と業務用米の不足の関係がうまく理解されてないこと、昨年以前から飼料米政策に起因する低価格米が不足気味であることが一般には知られていないこと、作況指数からみて値上げは不可解と感じられていること、などなど。
そして消費者のみならず生産者も流通についてはあまり確かな知識を持っていないということ。

そして農家の側からすれば高くなったと言ってもまだまだ安くてやってられないレベル。消費者の側からすれば生活を苦しめる不条理な値上げ。流通からすると仕入れは上がるのに売値に転嫁できない、とりあえず来年以降は落ち着くだろうから今年は何とか生き延びたい。
三者とも苦しいばかり。たちの悪い大岡裁きです。

わたしはこの状況は、産地の衰退以上に消費地が消耗していることの表れだと解釈します。
かつて昭和時代の生産地の衰退は若者の都市部への流出によるものでした。今は消費地の衰退と生産地の衰退がリンクしているように見えます。

都市部が農村部に対して経済的に優位だった時代には、都市住人による農産物の購入や観光消費、国や自治体の財政などを通じて消費地が生産地を経済的に支える形が自然に可能でした。今でも農村部で村おこし的なことを考えている人たちのなかには、そういう構造を前提にしているの人も多いのではないでしょうか。
しかし、今の消費地・都市部にはこれ以上生産地・農村部を支えるだけの力がない。もはや打ち出の小づちではないのです。すべての農村部を支えられるほどの力量はないのです。
都市部の貧困を目の当たりにすれば消費地の購買力をあてにすることの難しさが理解されるでしょう。むしろ都市部を含めた日本全体がインバウンド消費などと、外国人の財布をあてにした村おこし的なものに希望をつないでいるくらいです。

都市部消費者の購買力の低下。これから目を逸らすなら、消費者、中外食業者などの実需者が外国産というもう一つの選択肢を選ぶのを後押しすることになりかねないでしょう。

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