2017/11/18

農産物検査と未検査米

どうも世間的に、未検査米というものはなにか劣悪なコメとか、違法なコメだとか不当に認識されているのではないでしょうか。

そもそも未検査米とは農産物検査法の品位等検査を受けてないコメという意味です。これを受検して検査証明書ももらったコメが検査米。そして、この農産物検査法の検査証明書(例えば30㎏/袋の荷姿なら袋に印刷されたテンプレに内容が記入され印鑑が押してある)が、精米・玄米の一般小売での食品表示法食品表示基準で規定されている原料玄米の「産地」、「品種」、「産年」の表示根拠として流用されています。
ちなみに農産物検査法には「成分検査」の規定もあり、コメの場合はアミロース、たん白質の割合が検査項目となっていますが、これを受けなくても未検査米というわけではありません。品質チェックのために産地や精米業者が自身が持つ分析計を用いての非公式な分析は日常的にいたるところで行われてますが、農産物検査法の登録検査機関による成分検査を受けてるコメはあまりないでしょう。

もちろんこの検査を受けていないコメを販売することは違法でもなんでもありません。上記のような誤解が生じたのは、平成7年に廃止された食糧管理法時代に違法だった「ヤミ米」の概念がいまだに引きずられているためでしょう。国が主要食糧として位置づけるコメの法律上の扱いが大きく変わったわけですが、国民一般への周知はあまりなされてないようで二十数年たった今でも勘違いが横行しています。せいぜい農家や米穀店による地道な説明くらいしかない。むしろ国というか農水省は未検査米=違法という誤解が解けないほうがいいと思ってるんじゃないか?と下衆な勘繰りも。

ただし未検査米自体は違法でも何でもないのですが、これに「品種」「産年」を表示して販売することは食品表示法違反(産地は米トレサ法でむしろ表示が必要)。よく農家が未検査米を品種や新米をアピールしながら販売していますが、あれはアウト。産地品種銘柄に入ってない銘柄をうたっている場合なんてあきらかにアウト。

農水省は農家は野放し状態にしてますが、米穀店が同じことをすれば大きく報道されるというダブルスタンダードが存在します。よって米穀店が潰れるリスクを冒してまでこれに違反する行為はまずしない。しかし、そのために面白いんだけど売りにくくて手を出せないというコメがでてくる。珍しい品種だったり、変わった取り組みをしてる生産者だったりのコメでも、未検査であれば「未検査」とか「複数原料米」などのネガティブなイメージの文言を一括表示欄に記載する必要がありますし、米袋に品種名を表示することも許されません。

もちろん消費者を騙すような虚偽の表示は許されるものではないし、それがまかり通るような法律であって良いわけじゃありません。取引価格の高い確立されたブランド名を騙るような悪質なケースは取り締まるべきでしょう。しかし、そんな詐欺とか不正競争防止法違反といえるようなケースと、品種の検査を受けられないマイナー品種の品種名の表示とを同じように扱っていいものか。この制度が明るく活発なコメ消費の足を引っ張っていないか。と、そんな風に感じるわけです。

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