ときどき、業務店のお客様のところで炊飯について聞かれたり、話をしたりする機会があります。食堂のパートさんなどに炊飯の説明をしてほしいといわれることもあります。
炊飯てものは、炊飯器に入れてしまえばほとんどブラックボックス。具合を見ながら火加減を調整したり、時間を調整したりが出来ません。
とはいえ、その炊飯器に入れる前の段階をしっかりとするだけでも炊飯の出来は大きく変わります。具体的には「研ぎ」と「浸漬」です。
パートのおばさんなどに説明するとき、よく訊ねられるのが「何回研げばいいのか?」、「何回すすげばいいのか?」、「何分浸漬すればいいのか?」など。何回とか何分とか具体的で分かりやすい答えを要求されるのです。
とはいえ、コメの状態、気温、水温など一定であるわけがなく、質問者が求めるような分かりやすく都合のいい答えは出来ません。「あくまでもコメ自体を見て判断してください。充分なだけ研いで、充分なだけ浸漬してください」と答えるしかありません。
実際、ネットでも書籍でも何回研いだらいいとか、浸漬も夏場は何分、冬場は何分などと簡単な言い方がされている場合が多いようですが、それではちょっと乱暴な感じがしていました。コメを見て判断できるようなアドバイスが必要です。
例えば、研ぎ加減なら、研いでるコメを握ってみて、そのばらけ具合が目安になります。浸漬の具合なら、浸漬米をつぶしてみてその砕け方が目安になるでしょう。その上で、「何分浸漬すれば大概は充分でしょう」など付けくわえることはありますが。
浸漬にかかる時間はコメの状態や水温に大きく影響されますので、季節の変わり目にどれくらいの時間をみておく必要があるか再度確認するとよいでしょう。
しかし、パートのおばさんらは「何回」とか「何分」といった数字を求めたがるのです。
どうも、失敗したときに「私は決められた通りにやりましたよ!」と言えるからのようです。自分で判断するという負担を嫌っているな、というのは見ていてわかります。言われた通りのことだけやっていたい、自分で考えたり判断したりするのはゴメンだ、という雰囲気です。
でも、それでは美味いご飯は炊けないのです。
2013/08/01
2013/06/10
コメにつく虫
以前、知人から聞かれました。
「コメに虫がつくのは、それこそが無農薬の証拠だって言われたけど本当か?」
もちろん、そんな訳ありません。農薬を使ってようがいまいが、保管次第で虫はつきます。というか、今どき虫がつかない位に農薬が残留しているコメなど普通ないでしょう。
この知人は、農家から新米ということで買ったコメから糸で綴ったような虫の巣を見つけたため、本当に新米かと訝しんで確認したところ、上のようなことを言われたそうです。
確かに、収穫時期から見て虫が巣を綴るには早いかなと思えるタイミングでしたが、新米だというのは多分嘘ではない。想像するに、単にこの農家のタンクの清掃が行き届いてなかったのでしょう。隅に去年のコメと虫の巣が残っていた、それが今年のコメと一緒になって出てきたのだと思います。
一方、別の話になりますが、先日同業者との立ち話から。
この業者は、とある病院の厨房にコメを納品しています。ある日、「虫が出たすぐに来てくれ」と電話で呼び出しがあり、片道1時間かけて駆け付けたとのこと。行ってみると、ハイザーの中にコクゾウムシが一匹いたそうです。どこで入ったのか、納品時に既に袋の中にいたのかどうかは不明でしたが、とにかくその分のコメを交換して帰ったそうです。
まあ、ほっとけばコメには虫がついてしまうのです。どんなに厳重に防除しても絶対にゼロとは言い切れません。連中はちょっとした隙にでも入り込んで、卵を産みつけます。すでに農家から出荷される米粒の中に穴をあけて潜んでいることもあります。とくにこの季節は活動も活発になります。
最近TVで米びつ用の防虫剤のCMも見かけます。天然成分使用とのことですが、それを言うなら虫そのものや虫の排泄物も天然成分だったリするわけで・・・。
お勧めできる方法は、愚直に物理的に防ぐということです。
ところで、昔々の時代にはコクゾウムシもタンパク源として一緒に食べていたなんて説もあります。コクゾウ、メイガの幼虫、コクヌストモドキなどのコメにつくムシは食べても害はないという人もいます。が、それは害があるということが示されてないというだけで、安全だと言い切れるものでもありません。なにより、気持ち悪いですから・・・。
まあ、消費者の方はあまり気にしすぎるのもどうかと思いますが、一方、商品として販売する側は流通業者、農家の別なく覚悟して闘い続けなければならない問題です。
ちなみにどんな虫がコメにつくのか、下記リンク先がわかりやすいです。
食品総合研究所:食品害虫サイト
「コメに虫がつくのは、それこそが無農薬の証拠だって言われたけど本当か?」
もちろん、そんな訳ありません。農薬を使ってようがいまいが、保管次第で虫はつきます。というか、今どき虫がつかない位に農薬が残留しているコメなど普通ないでしょう。
この知人は、農家から新米ということで買ったコメから糸で綴ったような虫の巣を見つけたため、本当に新米かと訝しんで確認したところ、上のようなことを言われたそうです。
確かに、収穫時期から見て虫が巣を綴るには早いかなと思えるタイミングでしたが、新米だというのは多分嘘ではない。想像するに、単にこの農家のタンクの清掃が行き届いてなかったのでしょう。隅に去年のコメと虫の巣が残っていた、それが今年のコメと一緒になって出てきたのだと思います。
一方、別の話になりますが、先日同業者との立ち話から。
この業者は、とある病院の厨房にコメを納品しています。ある日、「虫が出たすぐに来てくれ」と電話で呼び出しがあり、片道1時間かけて駆け付けたとのこと。行ってみると、ハイザーの中にコクゾウムシが一匹いたそうです。どこで入ったのか、納品時に既に袋の中にいたのかどうかは不明でしたが、とにかくその分のコメを交換して帰ったそうです。
まあ、ほっとけばコメには虫がついてしまうのです。どんなに厳重に防除しても絶対にゼロとは言い切れません。連中はちょっとした隙にでも入り込んで、卵を産みつけます。すでに農家から出荷される米粒の中に穴をあけて潜んでいることもあります。とくにこの季節は活動も活発になります。
最近TVで米びつ用の防虫剤のCMも見かけます。天然成分使用とのことですが、それを言うなら虫そのものや虫の排泄物も天然成分だったリするわけで・・・。
お勧めできる方法は、愚直に物理的に防ぐということです。
- 米びつやハイザーは定期的に空っぽにして隅々を拭き取る。特にハイザーでは部品の裏側に巣を作られることがあり、ひどい場合は分解しての清掃が必要になる。
- なるべくなら、コメは密閉できる容器に入れて虫の侵入を防ぐ。
- コメや粉、麺をこぼしたままにしておかない。
- コメは1カ月程度のうちに食べきれる量で購入する。
- 米びつだけでなく、周辺も清潔に。
- 隙間を好むので、丁寧にチェックすること。
ところで、昔々の時代にはコクゾウムシもタンパク源として一緒に食べていたなんて説もあります。コクゾウ、メイガの幼虫、コクヌストモドキなどのコメにつくムシは食べても害はないという人もいます。が、それは害があるということが示されてないというだけで、安全だと言い切れるものでもありません。なにより、気持ち悪いですから・・・。
まあ、消費者の方はあまり気にしすぎるのもどうかと思いますが、一方、商品として販売する側は流通業者、農家の別なく覚悟して闘い続けなければならない問題です。
ちなみにどんな虫がコメにつくのか、下記リンク先がわかりやすいです。
食品総合研究所:食品害虫サイト
2013/05/30
産地偽装のニュースに思う
最近、米穀販売業者による産地偽装の報道が多いです。
昨日も次のような記事を読みました。
東京の精米業者書類送検 コメ産地偽装の疑い - 47NEWS(よんななニュース)
事件の内容は東京都内の米穀店が、
また、FNNの記事(コメ産地偽装販売 精米店社長「本物よりうまいコメ作れる」)によると、
こちらの記事(ブレンド米を「ひとめぼれ」偽装 精米会社社長ら書類送検 - MSN産経ニュース)では、
ということがわかります。
まじめにやっている身としてはウンザリするような行為ですが、同業者としてこのような事件が起こる背景に関心が向いてしまいます。
以下、この事件について思ったことを書きます。
30年前といえばまだ食管法の時代。現在に比べて不自由な流通で、手持ちの原料で一定の食味を維持するためにブレンドは必須テクニックだったと聞きます。
そのためか、昔の人は往々にしてブレンド米に産地銘柄を表示して販売することに対し罪の意識が希薄だったりします。ちょうど今の回転寿司で、商品名とネタの本当の姿が違っていても味的にそれっぽかったら、なんとなくスルーされている事象と似たような感じだったのかな、と思います。
表示ルールも30年の間に変遷してきました。現在のJAS表示にも問題は多い。モノの本質を表すものではない、消費者よりも役人や生産者のための制度でしかないという批判もハズレではないでしょう。
しかし、だからといって現在の法を蔑ろにしていいものではありません。また、道府県レベルでの産地区分+品種という銘柄に対して消費者が抱くキャラクターイメージというものが所詮は虚妄であるというならば、法を遵守することでそれを明らかにして行くべきだと思います。
315円で粗利58円なら、原価257円。1俵から精米54kg取れたとしても、13,878円/俵。
ちなみに、過去の業界紙を引っ張り出してみたところ、この期間中最も安いと思われる平成22年11月での宮城県産ひとめぼれ1等の市中価格は税別で10,800円/俵。23年に入ると高騰し始め、震災以降は拍車がかかり、24年4月の価格はなんと17,400円/俵。
それぞれの時点での精米販売価格が分からないので何とも言えませんが、いずれの時点でも宮城ひとめぼれを使用するには無理な単価だったのではないでしょうか?
これで搗精・配達してるわけですから、まあ、儲かってはいませんね。利益のためというよりも、損失を防ぐためといった方が実情に合っているのでは?
だからって同情はできませんが。
この程度の価格は、業務用ではありえないわけではないのですが、ハッキリ言ってしんどいレベル。自分なら、この価格で品種・産地の指定は受け付けません。価格に合うものから作らせてもらいます。いや、今シーズンならこの価格に合う原料の確保にも不安があるので、新規ならば取引自体を受けないかも。
産地・品種・産年を記載できる原料、つまり農産物検査を受けたコメを使うとすれば、まず1等は無理、2等でもこの価格はちょっとしんどい。でも3等や規格外を使って品質を落とすくらいなら、未検査米を使用して品種の記載なしで販売する方がいい。特に業務用ならば尚更です。
この米穀店もこの価格を守るならば、堂々と「複数原料米」で販売すればよかったのですが。
食味、銘柄、価格の3つはトレードオフの関係にあります。食味、価格が譲れないというのであれば、銘柄へのこだわりは捨てるしかない。食味、銘柄が大事というのであれば価格は高くなる。
しかし思うに、価格が価格だけに、この給食業者も銘柄にはこだわってなかったのではないでしょうか?たまたま「宮城ひとめぼれ」の袋に入っていたけど、味と価格さえ満足できれば銘柄はどうでもいい、気にしてないという感じではなかったのか?銘柄が重要な取引だと米穀店側が勝手に思い込んで、やたらと無意味な苦労をしたなんて話もありがちです。だとしたら、なんとも残念な事件です。
もちろん、初めて買う時の目安として、産地や品種は便利な基準です。また、農薬、化学肥料の使用状況など五感では判断できないものに関しては表示を信用するしかありません。
しかし、そのコメが美味いかどうか、品質はどうかは、消費者自身が判断できることだし、自信を持って判断してよいことです。有名な産地銘柄であっても、口に合わなければ、そう言っても構わない。大事なのは、食べる人自身が満足できるかどうかですから。
有名産地の良食味品種であっても、個別のコメの善し悪しは生産者の管理や保管次第なのです。産地銘柄ばかりに頼ることを止めて、本質的な価値で判断できるリテラシーが消費者にも必要だと思います。コメの善し悪しは、どこどこ県産のコシヒカリだったら間違いがない、なんて安直なものではないのです。
評判の高い産地銘柄であっても全てのコメが美味いわけではないことを知っておいて頂きたいし、同時に運悪く美味くないコメに当たったとしてもそれでその産地銘柄すべてを否定しないで欲しいのです。
そういった原料のブレ、不安定さを解消して安定した内容の商品を提供することに米穀店のオリジナル商品の価値は有ります。本来は、そのためのブレンドなのです。
そういう基本的な理解の土壌が出来て初めて、瑞穂の国だとかコメの文化だとか自称できるのではないかと。
また、消費者・実需者の方にも妥当な値ごろ感を持っていただきたい。とくに業務店、食のプロであるならばその時点での相場に正しい値ごろ感をもってしかるべきです。そうすることで、悪貨が良貨を駆逐するような状況を避けられると思うのです。
しかし、このブレンド米、どれだけのものなのか一度食べてみたい。取り調べに対しても豪語するくらいだし、コストパフォーマンスはかなり高かった、のかな?。
昨日も次のような記事を読みました。
東京の精米業者書類送検 コメ産地偽装の疑い - 47NEWS(よんななニュース)
事件の内容は東京都内の米穀店が、
- 産地不明のコメ(未検査米ということ?)をブレンドして「宮城県産ひとめぼれ」として販売していた。
- このようなブレンド米を特定の産地銘柄米として販売する行為は30年前から続けていた。
- 昨年4月に計240キロを75,600円で販売。
- それで不正競争防止法違反で警視庁に書類送検された。
また、FNNの記事(コメ産地偽装販売 精米店社長「本物よりうまいコメ作れる」)によると、
- 偽装を行なっていたのは業務用精米の配達で一般向けの店頭販売では偽装はなかった。
- 70歳の経営者は「自分がブレンドすれば、本物よりうまいコメが作れる」と語っている。
- 2年間でおよそ145万円の利益を上げていた。
こちらの記事(ブレンド米を「ひとめぼれ」偽装 精米会社社長ら書類送検 - MSN産経ニュース)では、
- 販売先は老人ホーム向け給食会社
- 平成22年7月から平成24年4月までの期間に約25トン販売し140万円の利益。
ということがわかります。
まじめにやっている身としてはウンザリするような行為ですが、同業者としてこのような事件が起こる背景に関心が向いてしまいます。
以下、この事件について思ったことを書きます。
30年前
まず、30年前から偽装をしていたということ。30年前といえばまだ食管法の時代。現在に比べて不自由な流通で、手持ちの原料で一定の食味を維持するためにブレンドは必須テクニックだったと聞きます。
そのためか、昔の人は往々にしてブレンド米に産地銘柄を表示して販売することに対し罪の意識が希薄だったりします。ちょうど今の回転寿司で、商品名とネタの本当の姿が違っていても味的にそれっぽかったら、なんとなくスルーされている事象と似たような感じだったのかな、と思います。
表示ルールも30年の間に変遷してきました。現在のJAS表示にも問題は多い。モノの本質を表すものではない、消費者よりも役人や生産者のための制度でしかないという批判もハズレではないでしょう。
しかし、だからといって現在の法を蔑ろにしていいものではありません。また、道府県レベルでの産地区分+品種という銘柄に対して消費者が抱くキャラクターイメージというものが所詮は虚妄であるというならば、法を遵守することでそれを明らかにして行くべきだと思います。
キツイ価格
240kgを75,600円で販売ということは、平均1kgで315円ですか。2年で145万円の利益というのも、恐らく粗利のことでしょう(マスコミや公務員は粗利のことを利益と雑に言う事が多い。)。25tでおよそ145万円だと1kgあたり58円、業務用の粗利としては数量次第ではこんなものかと。月に1tあまりの納入であれば、この程度の粗利でも回していけるでしょう。315円で粗利58円なら、原価257円。1俵から精米54kg取れたとしても、13,878円/俵。
ちなみに、過去の業界紙を引っ張り出してみたところ、この期間中最も安いと思われる平成22年11月での宮城県産ひとめぼれ1等の市中価格は税別で10,800円/俵。23年に入ると高騰し始め、震災以降は拍車がかかり、24年4月の価格はなんと17,400円/俵。
それぞれの時点での精米販売価格が分からないので何とも言えませんが、いずれの時点でも宮城ひとめぼれを使用するには無理な単価だったのではないでしょうか?
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| 平成22年11月の市中価格(商経アドバイス2010年11月8日) |
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| 平成24年4月の市中価格(商経アドバイス2012年4月26日) |
これで搗精・配達してるわけですから、まあ、儲かってはいませんね。利益のためというよりも、損失を防ぐためといった方が実情に合っているのでは?
だからって同情はできませんが。
この程度の価格は、業務用ではありえないわけではないのですが、ハッキリ言ってしんどいレベル。自分なら、この価格で品種・産地の指定は受け付けません。価格に合うものから作らせてもらいます。いや、今シーズンならこの価格に合う原料の確保にも不安があるので、新規ならば取引自体を受けないかも。
産地・品種・産年を記載できる原料、つまり農産物検査を受けたコメを使うとすれば、まず1等は無理、2等でもこの価格はちょっとしんどい。でも3等や規格外を使って品質を落とすくらいなら、未検査米を使用して品種の記載なしで販売する方がいい。特に業務用ならば尚更です。
この米穀店もこの価格を守るならば、堂々と「複数原料米」で販売すればよかったのですが。
食味、銘柄、価格の3つはトレードオフの関係にあります。食味、価格が譲れないというのであれば、銘柄へのこだわりは捨てるしかない。食味、銘柄が大事というのであれば価格は高くなる。
しかし思うに、価格が価格だけに、この給食業者も銘柄にはこだわってなかったのではないでしょうか?たまたま「宮城ひとめぼれ」の袋に入っていたけど、味と価格さえ満足できれば銘柄はどうでもいい、気にしてないという感じではなかったのか?銘柄が重要な取引だと米穀店側が勝手に思い込んで、やたらと無意味な苦労をしたなんて話もありがちです。だとしたら、なんとも残念な事件です。
つまり
コメ以外の世界でもありがちですが、どうも皆さん能書きやら銘柄に判断を任せきっているのではないでしょうか。もちろん、初めて買う時の目安として、産地や品種は便利な基準です。また、農薬、化学肥料の使用状況など五感では判断できないものに関しては表示を信用するしかありません。
しかし、そのコメが美味いかどうか、品質はどうかは、消費者自身が判断できることだし、自信を持って判断してよいことです。有名な産地銘柄であっても、口に合わなければ、そう言っても構わない。大事なのは、食べる人自身が満足できるかどうかですから。
有名産地の良食味品種であっても、個別のコメの善し悪しは生産者の管理や保管次第なのです。産地銘柄ばかりに頼ることを止めて、本質的な価値で判断できるリテラシーが消費者にも必要だと思います。コメの善し悪しは、どこどこ県産のコシヒカリだったら間違いがない、なんて安直なものではないのです。
評判の高い産地銘柄であっても全てのコメが美味いわけではないことを知っておいて頂きたいし、同時に運悪く美味くないコメに当たったとしてもそれでその産地銘柄すべてを否定しないで欲しいのです。
そういった原料のブレ、不安定さを解消して安定した内容の商品を提供することに米穀店のオリジナル商品の価値は有ります。本来は、そのためのブレンドなのです。
そういう基本的な理解の土壌が出来て初めて、瑞穂の国だとかコメの文化だとか自称できるのではないかと。
また、消費者・実需者の方にも妥当な値ごろ感を持っていただきたい。とくに業務店、食のプロであるならばその時点での相場に正しい値ごろ感をもってしかるべきです。そうすることで、悪貨が良貨を駆逐するような状況を避けられると思うのです。
しかし、このブレンド米、どれだけのものなのか一度食べてみたい。取り調べに対しても豪語するくらいだし、コストパフォーマンスはかなり高かった、のかな?。
2013/05/17
全農の24年産米概算金値上は集荷増に効果あったのか?
1ヶ月前のちょっと古い記事ですが。
全農は今年も同じことやるのでは?という噂もちらほらあるので。
全農のコメ集荷量3.1%増、7年ぶり前年上回る :日本経済新聞
昨年に全農が実施した集荷テコ入れは、熱心に農家へ顔を出して出荷を頼んだり、集落営農のキーパーソンを狙ったネゴなどの地道な行動も含まれると思います。
が、このテコ入れの目玉は、やはり概算金の大幅な値上げでしょう。
その結果、24年産米の全農取扱量が前年比3.1%増の276万3000トン、JAグループ全体では前年比1.9%増の367万2000トンとのこと。
記事には、この結果について肯定的な全農幹部の言葉が載っています。
しかし、あれだけの無茶な概算金値上げにも関わらず目標300万トンには程遠く、傍から見てこれでは失敗でしょう。
この微妙な増加すらも、補助金たっぷりの新規需要米のおかげで、実は主食用は・・・という見方もあります。
いくら衰退したと言っても全生産量の半分近くはJAグループが取り扱っており、その動きが与える影響は大きいです。
概算金の大幅値上げは、流通、加工、飲食業、最終的には消費者全般と、農民以外の国民全体をカバーする相当な広範囲に悪影響を及ぼしました。
国民生活に大きな犠牲を強いておきながらも、目標達成は失敗。全農は自分たちがかけた迷惑について全く自覚できていないようです。さらに本年度も同じことを繰り返そうとしているとすれば、単なる幼稚な甘えといって過言ではないでしょう。
現在、概算金に起因する高値ゆえ、流通での動きがひどく鈍っています。卸売業者などは高く買わされた在庫についても、ダンピングしてでも捌かなくてはならず、値崩れがおきています。これをかぶるのは中間流通業者。全農は後のことなど知らん顔。
実需の現場からは早期の関税撤廃を含むフェアな流通を待望する声がでるのも当然でしょう。
そもそも、概算金が上がれば農協の集荷率が上がるのか疑問です。
農協に出さずに業者や消費者に販売する場合、価格の設定は二通りあります。
一つは概算金や相場とは関係なしに毎年決まった価格で取引するやり方。
もう一つは概算金を基準にプラスアルファするやり方。
前者は生産者と買手の結び付きが比較的強い場合が多い。生産者の技術もそこそこにあり、安定した品質と量の供給が期待できる場合にはこういう付き合い方もできる。
またこういうコメは、一般消費者向け直売であったり、業務用であっても品質を価格より重視するちょっとこだわった店舗などへ向けられます。
難しいのは、年によっては相場と大きくかけ離れること。生産者から消費者までが一貫して相場とは関係ない値ごろ観を共有していることが必要。途中で誰かが、相場と比較して高いとか安いなどを言い出したら成り立ちません。
この手の価格設定は、そもそも良い時も悪い時も安定した価格での取引を継続することで相場のリスクを消すのが目的です。概算金が上がったからと言って、いきなり農協委託に切り替えということはあまりないはずです。もちろん、一部には目先につられて高い方へ流す生産者もいるとは思いますが。
後者の場合、概算金が上がれば民間業者への販売価格もそれにつられて上がるだけで、概算金が民間業者の買取価格を大きく上回ることはない。別に農協への委託が有利になるわけでもないのです。
わたくしは以上のように考え、概算金の値上げは集荷増に大して効果がないだろうと見ます。
一方、アンフェアな方法による米価の上昇はコメ流通の停滞や消費の低迷をもたらすでしょう。
本当に集荷率を上げたいのならば、生産者との関係の強化、職員の資質の向上、魅力的な企画などにより、生産者がJAへ委託することのメリットを自発的に感じることが必要かと。
さらに、JA取扱量へ影響するのは生産者側の意識、行動だけではありません。
買う側つまり卸売、小売、実需者からみて、JA、全農を通すことに強いメリットがなければダメでしょう。
むしろ見落とされているこっちがポイントかも?
全農は今年も同じことやるのでは?という噂もちらほらあるので。
全農のコメ集荷量3.1%増、7年ぶり前年上回る :日本経済新聞
昨年に全農が実施した集荷テコ入れは、熱心に農家へ顔を出して出荷を頼んだり、集落営農のキーパーソンを狙ったネゴなどの地道な行動も含まれると思います。
が、このテコ入れの目玉は、やはり概算金の大幅な値上げでしょう。
その結果、24年産米の全農取扱量が前年比3.1%増の276万3000トン、JAグループ全体では前年比1.9%増の367万2000トンとのこと。
記事には、この結果について肯定的な全農幹部の言葉が載っています。
商社や民間集荷業者との競争が激しく、全農単独目標の300万トンには届かなかったが、集荷てこ入れで「長期低落に歯止めがかかった」(全農幹部)と強調。
しかし、あれだけの無茶な概算金値上げにも関わらず目標300万トンには程遠く、傍から見てこれでは失敗でしょう。
この微妙な増加すらも、補助金たっぷりの新規需要米のおかげで、実は主食用は・・・という見方もあります。
いくら衰退したと言っても全生産量の半分近くはJAグループが取り扱っており、その動きが与える影響は大きいです。
概算金の大幅値上げは、流通、加工、飲食業、最終的には消費者全般と、農民以外の国民全体をカバーする相当な広範囲に悪影響を及ぼしました。
国民生活に大きな犠牲を強いておきながらも、目標達成は失敗。全農は自分たちがかけた迷惑について全く自覚できていないようです。さらに本年度も同じことを繰り返そうとしているとすれば、単なる幼稚な甘えといって過言ではないでしょう。
現在、概算金に起因する高値ゆえ、流通での動きがひどく鈍っています。卸売業者などは高く買わされた在庫についても、ダンピングしてでも捌かなくてはならず、値崩れがおきています。これをかぶるのは中間流通業者。全農は後のことなど知らん顔。
実需の現場からは早期の関税撤廃を含むフェアな流通を待望する声がでるのも当然でしょう。
そもそも、概算金が上がれば農協の集荷率が上がるのか疑問です。
農協に出さずに業者や消費者に販売する場合、価格の設定は二通りあります。
一つは概算金や相場とは関係なしに毎年決まった価格で取引するやり方。
もう一つは概算金を基準にプラスアルファするやり方。
前者は生産者と買手の結び付きが比較的強い場合が多い。生産者の技術もそこそこにあり、安定した品質と量の供給が期待できる場合にはこういう付き合い方もできる。
またこういうコメは、一般消費者向け直売であったり、業務用であっても品質を価格より重視するちょっとこだわった店舗などへ向けられます。
難しいのは、年によっては相場と大きくかけ離れること。生産者から消費者までが一貫して相場とは関係ない値ごろ観を共有していることが必要。途中で誰かが、相場と比較して高いとか安いなどを言い出したら成り立ちません。
この手の価格設定は、そもそも良い時も悪い時も安定した価格での取引を継続することで相場のリスクを消すのが目的です。概算金が上がったからと言って、いきなり農協委託に切り替えということはあまりないはずです。もちろん、一部には目先につられて高い方へ流す生産者もいるとは思いますが。
後者の場合、概算金が上がれば民間業者への販売価格もそれにつられて上がるだけで、概算金が民間業者の買取価格を大きく上回ることはない。別に農協への委託が有利になるわけでもないのです。
わたくしは以上のように考え、概算金の値上げは集荷増に大して効果がないだろうと見ます。
一方、アンフェアな方法による米価の上昇はコメ流通の停滞や消費の低迷をもたらすでしょう。
本当に集荷率を上げたいのならば、生産者との関係の強化、職員の資質の向上、魅力的な企画などにより、生産者がJAへ委託することのメリットを自発的に感じることが必要かと。
さらに、JA取扱量へ影響するのは生産者側の意識、行動だけではありません。
買う側つまり卸売、小売、実需者からみて、JA、全農を通すことに強いメリットがなければダメでしょう。
むしろ見落とされているこっちがポイントかも?
2012/11/29
コメ高騰は全農の概算金引き上げが要因とする報道に、全農・全中が反論
8月の投稿で、JA概算金の設定に影響されて新米相場が高騰していることを書きました。
当時はまだ早期米の季節であり、一般米が登場するころには相対価格の大幅な修正もあるかもと淡い期待をしておりましたが、依然高値がつづいた状態です。まあ今でも、概算金そのままでも、あと1,500円くらいならJA相対価格も下げる余裕があるのと思ってます。
しかし全国作況指数102の発表にもかかわらず高騰がつづき、ついに一般紙も農協の概算金設定が高騰をもたらしていることを報じるようになりました。代表例は読売新聞の11月5日の社説「豊作でも高値 矛盾だらけのコメ政策見直せ」でしょう。消費者軽視の農協の理論、消費者ニーズに沿う努力の不足、飼料用米への補助金の太さなどが上手く指摘されています。
ところが11月20日に全中と全農が連名でこのような新聞報道に対する反論を行っています。
「豊作にもかかわらず米価が高いのは全農の概算金引き上げに要因があるとする一部報道について」
この反論では「全農の概算金の引き上げや集荷拡大が原因であるとの報道」は誤解を招くとして三点を主張しています。
当時はまだ早期米の季節であり、一般米が登場するころには相対価格の大幅な修正もあるかもと淡い期待をしておりましたが、依然高値がつづいた状態です。まあ今でも、概算金そのままでも、あと1,500円くらいならJA相対価格も下げる余裕があるのと思ってます。
しかし全国作況指数102の発表にもかかわらず高騰がつづき、ついに一般紙も農協の概算金設定が高騰をもたらしていることを報じるようになりました。代表例は読売新聞の11月5日の社説「豊作でも高値 矛盾だらけのコメ政策見直せ」でしょう。消費者軽視の農協の理論、消費者ニーズに沿う努力の不足、飼料用米への補助金の太さなどが上手く指摘されています。
ところが11月20日に全中と全農が連名でこのような新聞報道に対する反論を行っています。
「豊作にもかかわらず米価が高いのは全農の概算金引き上げに要因があるとする一部報道について」
この反論では「全農の概算金の引き上げや集荷拡大が原因であるとの報道」は誤解を招くとして三点を主張しています。
- 端境期に需給がひっ迫し、そのため業者の価格水準が上昇し、概算金はそれに合わせたにすぎない。
- 報道されている米価は、全価格帯の加重平均。高価格帯の上昇はわずかだが業務用低価格帯の需給がひっ迫し上昇が大きい。低価格帯がひっ迫したのは「政府備蓄米の運営が、新米を買い入れ、古米を売り渡す回転備蓄方式から、買い入れた米を一定期間保管後、飼料用等に販売する棚上備蓄方式に移行したことにより、政府備蓄米が主食用に売却されなくなったことも要因の1つ」。
- 東北、北陸での猛暑による被害がある。精米歩留の低下が懸念されている。
三点についての感想です。
- 端境期の記憶を辿ってみると・・・。
春から夏にかけて、確かに動いているコメが少なかったです。卸売りの営業も、顔は出しても「売るものがない」とぼやくばかり。ただ、今になって見ると23年産も無かったわけではない。農家から末端の米屋まで、なんだかんだいって少しずつ在庫してたみたいですね。実際、口では「無い、無い」と言ってもパニックは起こらなかった。
むしろ、南九州から始まる早期米の概算金が軒並み高かったことがショックでした。当然、JA相対価格も、予想だにしなかった強気の値段。民間集荷業者もJA概算金が高すぎて様子見。
米屋の現場からは、概算金設定 → 高騰という順番にみえましたね。 - 低価格帯ひっ迫の理由として挙げられている棚上備蓄。なんか政策が悪いような口ぶりですが、もともと回転備蓄から、隠れた価格支持政策といえる棚上備蓄への変更は生産者側が望んで実現させたのではなかったか?例えばこの記事(棚上げ備蓄で米価が上がる | コラム | JAcom)。
また、低価格帯の不足は、上記の読売社説でも示されている飼料用米への補助金の太さが大きく影響しているといわれています。農政の責任といえばそうですが、これも生産者側としては望んでいた政策ではなかったか?
最大の理由は、「消費者のニーズを満足させたい」という意識が生産者側に希薄であることではないでしょうか。消費者は生産者にとって都合のいいもの、生産者が作りたいものを食べてればいいのだ、という驕りがないでしょうか?
自分たちは消費者のニーズを無視する一方で、その捨て置かれた消費者ニーズを満たすだろう米が消費者に届くことは、政治的圧力で阻止する。どうも最近、TPPに反対する農業関係者の姿がこんな感じに見えてしまって・・・。 - まず、高いのは玄米価格です。精米価格も高いですが、精米業者は原料の上昇分を充分転嫁できていません。歩留が悪いから商品価格を上げているという意味なら、全くのお門違いでしょう。
もしかしたら、歩留が悪そうだから、精米の出来上がりが少なくなりそうだから、必要な玄米量を多めに見積もってひっ迫しているというのでしょうか?だとすると、なんか、ひとごとみたいですね。
ついでに確認しておきたいのが今年4月のこの記事です。
集荷量減少に危機感をもち、24年産は具体的な数値目標を設定して臨んでいたことがわかります。
23年産は266万トンであった連合会出荷米を300万トンに、JA直売まで含めた集荷を23年の356万トンから400万トンにすることを目指すと。
具体策として、機動性に欠く現在の共同計算のやり方を見直すなどありますが、今年の各地での集荷に間に合ったのでしょうか?
他に有効な策がないままで、300万トンを実現しようとすれば、やっぱり力技にならざるをえないのでは?
しかし、この記事も、また今年の概算金の騒動も、「集荷すればどうにかなる」という雰囲気を全農さんから感じるのですが、やっぱり現場では高ければ米は動かないのです。
そもそも全農集荷量が減ったのは、委託する農家が減っただけでなく、全農玉に魅力を感じない買い手が増えたからでしょう。
2012/09/10
「平成のコメ騒動」の思い出
仕事柄、私は毎日、お米に触れています。
玄米を見て、搗精して、食べてみて、生産者や同業者から話を聞き、各種資料や発表に目をとおし、アマゾンで関連書籍をチェックして・・・。お米への興味は尽きません。
かといって、「日本食バンザイ!パンはダメ!ファストフード嫌い!何が何でも日本の農村を守れ!」というタイプでは決してありませんし、なりたくありません。
むしろ、食育やら日本的食生活の推進やら限界集落の再生やらに熱心な方々からすると、ずいぶんと冷めてみえることでしょう。あるいは「米屋としての責務を心得てない」と映るかもしれません。
しかし、このような当事者たちも自分たちが何をしているのやらよくわからずに踊っているような活動からは、ちょっと引いているくらいがプロの米屋として正しいスタンスだと私は思っています。いくらお米が好きでも「目がない」までになっては具合が悪い。また、お客さんにとって無意味な思い入れを押し出すことも邪魔になるでしょう。
コメ原理主義的な姿勢では、コメがファストフードやパン、麺に負けている部分も見えてこないでしょう。
そして、大げさなことを言って消費者を脅したり、怪しげな健康法や思想を商売に利用するために軽率に紹介することは許されるべきではない。
そう思っています。
そんな私が、まったくコメに関わりなく、知識もなければ興味もなく、品質も味もよく判らない小僧だった頃です。でも、この時の記憶が米屋としての考え方に影響していると思います。
平成のコメ騒動が起こった1993年、当時の私はまさか自分が米屋になるなんて思いもしない学生で、一人暮らしをしておりました。
食事は自炊と外食が3:7くらい。本当は自炊メインにするつもりだったのですが、結局は外食の割合が増えていました。
そして生じたコメ騒動。テレビでは国産米の高騰のみならず、タイ米とのブレンドを買わざるを得なくなることや、飲食店でもタイ米が使われること、そしてそのタイ米が美味くないこと!が語られます。ついでにヤミ米の話やら、なぜかお米を売る城南電機の宮路社長やらもテレビに登場して、コメの世界や農政を全く知らない人間にとってはカオスでした。
それまでの私は日本人の常識(?)にとらわれており、外食中心ではありましたが、1日1回も白飯を食べないで過ごすなんてあり得ないと思ってました。
そこに起こったこの騒動。白飯が食べられないのは困る、しかし「不味い」だの「不衛生」だのとテレビで散々脅され偏見に囚われていた私はタイ米を食べるのも気がすすまない。
で、結局その騒動の間、お米を買うこともなく、外食でもなるべくは白飯を食べず、ほとんどはファストフード、パン類、麺類でなんとなく過ごしてしまいました。
結果、よーく判ったのは「しばらくコメを食わなくてもなんてことない、他の選択肢はいっぱいある」ということ。
おそらく、この騒動で私と同じような悟りに至った人も少なくないのでは?
こういう経験は、各人のコメ離れの傾向にボディーブローのような効き目があっただろうと思います。
生産者サイドの一方的な都合によるコメ高騰を迎えている今秋、そんなことを思い出します。
今は1993年と比較して、外国産米への理解は進み抵抗はなくなっています。コメ以外の炭水化物で食事を終わらせることも当たり前の習慣となっています。
おそらく、今年の高騰は消費量だけでなく、気持ちの上でもコメ離れをもたらすのではないでしょうか。
玄米を見て、搗精して、食べてみて、生産者や同業者から話を聞き、各種資料や発表に目をとおし、アマゾンで関連書籍をチェックして・・・。お米への興味は尽きません。
かといって、「日本食バンザイ!パンはダメ!ファストフード嫌い!何が何でも日本の農村を守れ!」というタイプでは決してありませんし、なりたくありません。
むしろ、食育やら日本的食生活の推進やら限界集落の再生やらに熱心な方々からすると、ずいぶんと冷めてみえることでしょう。あるいは「米屋としての責務を心得てない」と映るかもしれません。
しかし、このような当事者たちも自分たちが何をしているのやらよくわからずに踊っているような活動からは、ちょっと引いているくらいがプロの米屋として正しいスタンスだと私は思っています。いくらお米が好きでも「目がない」までになっては具合が悪い。また、お客さんにとって無意味な思い入れを押し出すことも邪魔になるでしょう。
コメ原理主義的な姿勢では、コメがファストフードやパン、麺に負けている部分も見えてこないでしょう。
そして、大げさなことを言って消費者を脅したり、怪しげな健康法や思想を商売に利用するために軽率に紹介することは許されるべきではない。
そう思っています。
そんな私が、まったくコメに関わりなく、知識もなければ興味もなく、品質も味もよく判らない小僧だった頃です。でも、この時の記憶が米屋としての考え方に影響していると思います。
平成のコメ騒動が起こった1993年、当時の私はまさか自分が米屋になるなんて思いもしない学生で、一人暮らしをしておりました。
食事は自炊と外食が3:7くらい。本当は自炊メインにするつもりだったのですが、結局は外食の割合が増えていました。
そして生じたコメ騒動。テレビでは国産米の高騰のみならず、タイ米とのブレンドを買わざるを得なくなることや、飲食店でもタイ米が使われること、そしてそのタイ米が美味くないこと!が語られます。ついでにヤミ米の話やら、なぜかお米を売る城南電機の宮路社長やらもテレビに登場して、コメの世界や農政を全く知らない人間にとってはカオスでした。
それまでの私は日本人の常識(?)にとらわれており、外食中心ではありましたが、1日1回も白飯を食べないで過ごすなんてあり得ないと思ってました。
そこに起こったこの騒動。白飯が食べられないのは困る、しかし「不味い」だの「不衛生」だのとテレビで散々脅され偏見に囚われていた私はタイ米を食べるのも気がすすまない。
で、結局その騒動の間、お米を買うこともなく、外食でもなるべくは白飯を食べず、ほとんどはファストフード、パン類、麺類でなんとなく過ごしてしまいました。
結果、よーく判ったのは「しばらくコメを食わなくてもなんてことない、他の選択肢はいっぱいある」ということ。
おそらく、この騒動で私と同じような悟りに至った人も少なくないのでは?
こういう経験は、各人のコメ離れの傾向にボディーブローのような効き目があっただろうと思います。
生産者サイドの一方的な都合によるコメ高騰を迎えている今秋、そんなことを思い出します。
今は1993年と比較して、外国産米への理解は進み抵抗はなくなっています。コメ以外の炭水化物で食事を終わらせることも当たり前の習慣となっています。
おそらく、今年の高騰は消費量だけでなく、気持ちの上でもコメ離れをもたらすのではないでしょうか。
2012/09/05
24年産新米スタート
平成24年産早期米の価格について先日投稿しましたが、その続きです。
うちの地元県内でも、早期米ではない通常のコシヒカリの刈り取りが始まり、9月の中旬には玄米の出荷スタートします。で、先日JA県連の組合長会議、全農と卸売各社との会議が相次いで開かれ価格が決定した模様です。
「やはり!」というべきか「なんと!」というべきか・・・。きちんとした見積もりはまだ受け取ってないのですが、人づてに聞いた話では、早期米と同じく昨年比2,000円のアップです。
白米にしてkgあたりの原価40円近く高くなっています。もし業務用取引先に対しての値上げ要求が受け入れられなければ、場合によっては原価割れ。
もしかしたら今年は取引先、業態など根本から見直さなければならないかもしれません。まあ、いずれはそういう時が来るわけで、これがいいきっかけかもしれませんが・・・。
しかし、私の周りでは、この価格が1年を通して続くと思っている人は少ないようです。
まず、この価格が需要と供給を反映したものではなく、JAが集荷率を上げるために農家への概算金を高く設定した結果であること。24年産の作柄は、ほとんどの地域が「平年並み」か「やや良」に含まれる見通しで、そのうえ過剰作付けもあり、数量的には余るのは必至でしょう。当初は飛び抜けて上昇した関東地方某県の概算金も、バランスを取るようにじりじりと下げてきているようですし。
業者もバカ高い24年産にあせって手を出すこともしないでしょう。にぶい動きに、仕方なくズルズルと値下げの価格改定が連続するのでは、と思われます。
(海外の干ばつの影響、他の食糧の高騰の影響がどこまであるか、など気になることはいろいろとありますが・・・。)
8月、近所のスーパーで宮崎コシヒカリ新米が5㎏2,380円で販売されていました。玄米の価格からすれば、そうならざるを得ない価格ですが、スーパーの目玉商品としてはちょっと高いな、という印象でした。その商品をスーパーに卸している業者の人から聞いたところ、全然売れないとのことでした。
ところが、9月に入ってその業者の配送トラックがたまたまうちに寄った時のこと。荷台を覗くと宮崎コシヒカリがたんまり積まれています。聞くと「値段を下げたら、バンバン売れてる」とのこと。
5kg1,990円と当初から390円の値下げ。原価割れではないけれど、搗精、配送のコストを考えると・・・ですね。9月に入り、もうじき普通の新米が出回り始めるわけですから、その前にシーズン物の宮崎コシヒカリは捌いてしまわなければならないから仕方ありません。
この業者も、自社が仕入れた値段に見合う価格設定をしたのでは売れないことはわかっていたし、こんなバカ高い米は仕入たくもなかったみたいですが、いろんなしがらみから引き受けざるを得なかったようです。
後味悪い早場米ですが、宮崎の生産者やJAは消費地の状況をどう思っているのでしょうか?まさか、「自分らは高値で売り切ってしまえばOK」ってことはないと思いますが。
うちの地元県内でも、早期米ではない通常のコシヒカリの刈り取りが始まり、9月の中旬には玄米の出荷スタートします。で、先日JA県連の組合長会議、全農と卸売各社との会議が相次いで開かれ価格が決定した模様です。
「やはり!」というべきか「なんと!」というべきか・・・。きちんとした見積もりはまだ受け取ってないのですが、人づてに聞いた話では、早期米と同じく昨年比2,000円のアップです。
白米にしてkgあたりの原価40円近く高くなっています。もし業務用取引先に対しての値上げ要求が受け入れられなければ、場合によっては原価割れ。
もしかしたら今年は取引先、業態など根本から見直さなければならないかもしれません。まあ、いずれはそういう時が来るわけで、これがいいきっかけかもしれませんが・・・。
しかし、私の周りでは、この価格が1年を通して続くと思っている人は少ないようです。
まず、この価格が需要と供給を反映したものではなく、JAが集荷率を上げるために農家への概算金を高く設定した結果であること。24年産の作柄は、ほとんどの地域が「平年並み」か「やや良」に含まれる見通しで、そのうえ過剰作付けもあり、数量的には余るのは必至でしょう。当初は飛び抜けて上昇した関東地方某県の概算金も、バランスを取るようにじりじりと下げてきているようですし。
業者もバカ高い24年産にあせって手を出すこともしないでしょう。にぶい動きに、仕方なくズルズルと値下げの価格改定が連続するのでは、と思われます。
(海外の干ばつの影響、他の食糧の高騰の影響がどこまであるか、など気になることはいろいろとありますが・・・。)
8月、近所のスーパーで宮崎コシヒカリ新米が5㎏2,380円で販売されていました。玄米の価格からすれば、そうならざるを得ない価格ですが、スーパーの目玉商品としてはちょっと高いな、という印象でした。その商品をスーパーに卸している業者の人から聞いたところ、全然売れないとのことでした。
ところが、9月に入ってその業者の配送トラックがたまたまうちに寄った時のこと。荷台を覗くと宮崎コシヒカリがたんまり積まれています。聞くと「値段を下げたら、バンバン売れてる」とのこと。
5kg1,990円と当初から390円の値下げ。原価割れではないけれど、搗精、配送のコストを考えると・・・ですね。9月に入り、もうじき普通の新米が出回り始めるわけですから、その前にシーズン物の宮崎コシヒカリは捌いてしまわなければならないから仕方ありません。
この業者も、自社が仕入れた値段に見合う価格設定をしたのでは売れないことはわかっていたし、こんなバカ高い米は仕入たくもなかったみたいですが、いろんなしがらみから引き受けざるを得なかったようです。
後味悪い早場米ですが、宮崎の生産者やJAは消費地の状況をどう思っているのでしょうか?まさか、「自分らは高値で売り切ってしまえばOK」ってことはないと思いますが。
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