2012/02/29

2012/2/29の新聞記事「輸入米、消費量の半分に? TPP加入で関税ゼロなら」

今朝、ネットで見た朝日新聞の記事です。


”輸入米、消費量の半分に? TPP加入で関税ゼロなら
日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に入り、コメにかけている関税がゼロになった場合、海外産米が最大で年400万トン輸入される可能性があるとの試算を、九州大学大学院の伊東正一教授がまとめた。
伊東教授は食料需給問題を専門とし、世界の食料事情に詳しい。現在、国産米は60キロ(玄米)あたり1万5千円程度だが、関税がなくなれば、米国産の「コシヒカリ」が7千円前後、同国産の「カルローズ」が5千円程度で入ってくる可能性があるという。
日本人が食べる短中粒種のコメは、米国では年150万トン、ベトナムでは年1万トン生産しているが、5年程度で日本向けに品種を変えたり、生産体制を整えたりすることを想定。米国から300万トン、ベトナムから100万トンの計400万トンのコメが入ってくるとした。
400万トンは、日本の年間コメ消費量の半分に相当する。伊東教授は、日本の中小規模のコメ農家の経営は立ちゆかなくなり、採算を度外視して趣味でコメ作りをする兼業農家と、一部の大規模農家のみになると指摘。一方で、「コメが安くなり消費者にはメリットがある。多くの輸入ルートを確保した方が、食料不足のときに安定的に海外から調達でき、食料安全保障上もいい」と話している。”
(朝日新聞 2012/2/29)


「そんな感じだろうな」と思ってたことですが、こうやって書かれると重く感じますね。
伊東正一教授のサイトは私もときどき拝見させていただいてますが、ほかでこのような(説得力のある)シミュレーションをしているところを知らないので、大変参考になります。

”伊東教授は、日本の中小規模のコメ農家の経営は立ちゆかなくなり、採算を度外視して趣味でコメ作りをする兼業農家と、一部の大規模農家のみになると指摘。”

残念ながら、私もそうなると思います。
美味い米をつくる中山間地のプロ農家は退場し、コメで利益を上げる必要のない趣味農家、あるいは超低コスト生産が可能な一部大規模農家だけが残るという皮肉な結果が予想されます。
もちろん、安全性や食味を重視しプライドを持って仕事するプロ農家を支持する消費者も残るとは思いますが、標準的な品の価格との乖離がどれくらいまでなら許容されるのか不安があります。
趣味農家でも手間のかけ方や土地、生産者自身の資質によって美味い米をつくる方もいますが、まとまった数量にはならず、品質のバラつきも多く、JA等の集荷の負担も大きい。
付加価値を上げ、コストを下げれば、世界一おいしい日本のお米は世界に売れる」という意見もありますが、そもそもこんな状態になれば「世界一おいしい」と言ってられるかどうかわかりません。

”一方で、「コメが安くなり消費者にはメリットがある。多くの輸入ルートを確保した方が、食料不足のときに安定的に海外から調達でき、食料安全保障上もいい」と話している。”

確かに食糧自給率よりも調達ルートの確保によるリスク分散 の方が大切だと、私も思います。
ただ将来、日本円が弱くなった時、たいして安くもなければ美味くもないというコメばかりになりはしないかと心配です。そうなったときに初めて、国内で適正価格で美味いコメを作ろうというプロ農家の価値が見直されるのかもしれません。でも、それじゃあ遅すぎる気がします。
いざという時にあてにできない兼業農家をではなく、プロの農家をこそ支えるべきだというのが私の気持ちです。

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