2013/10/11

「無農薬」と「やりっ放し」

通りすがりに目にした光景。


ひどく荒れてますが耕作放棄地ではありません。


ここまで雑草に埋もれていれば、味も推して知るべしかと。養分は奪われ実りは貧弱、雑草の種など異物の多数混入も避けられないはず。


上の写真はウンカにやられたのでしょうか?今年はあちこちでウンカの被害を聞きますので、仕方ない部分はあるかもしれませんが、そうでなくても結構倒してますね。


刈ったとしても、小石だらけでしょう。なによりも倒伏は芽腐れ、茶米、胴割れを発生させ、そうでなくても不衛生です。いくら籾で覆われているといっても。

まあ、恐らくこのようなコメは親戚に配ったり、職場の同僚に売ったりするのでしょうが、砂を噛んでるようなコメを消費しなければならない側には迷惑な話です。

兼業農家や超高齢農家の「無農薬」の中には、ときどきタチが悪いものがあります。単に杜撰であったり、力量不足、やりっ放しなだけなのを、「無農薬」と称しているケースは少なくありません。無農薬で「食べるに耐える」コメを作るのに意味があるのであって、これなら作らないほうがまし?
「うちは無農薬だから・・」と、カメムシの多さや食味の劣りの言い訳にしていたり。周りの親戚・同僚も「そんなものなのか・・・?」と疑問に思いつつも、うやむやに誤魔化されている。
日本人はコメの味にうるさいとか敏感とかいうのは、神話や思い込みに過ぎないのだなと感じます。

まあ、でもこんな田んぼはまた違った事情も想起させます。
たとえば、コメには興味なくても田んぼのままならば農地扱いされていろいろ有利なんだろうなあ。
あとは、販売農家であれば経営安定所得対策の直接支払いで10aにつき1万5千円もらえるんだよなあ、とか。
この制度の目的には、「農業経営の安定と国内生産の確保」とあるんですが。

2013/10/05

「やや良」とはいうけれど・・・

農水省による9月27日の発表(PDF)では今年の作柄は、全国の作況指数は102で「やや良」と予想されています。
地域別にみても、沖縄の90を除き概ね100を超えるようです。

しかし私の実感はちょっと違います。豪雨で被災した地域がある一方、そこから車で1時間ほど走った所では雨が降らずに水が不足していたりもしました。酷暑、少雨の影響は大きいようです。
以下はあくまで私の地元地域で見聞きしたことの印象で、地方によって実情は異なるとは思います。

まず、品質。
シラタや張りの悪い痩せた粒が多いです。デンプンの充実が悪いので味もショボイ。現時点では、まだ24年産古米の方に魅力がある。
さらに、モノによっては胴割れや、搗精時の砕米発生が酷いとも聞いてます。まあ、胴割れするようなものを出荷するのは、ちょっと生産者に問題があると思いますが。
まあ、作況指数というのは収量を対象としたもので品質は関係ないといえばそうなのですが、このように充実の悪さが原因で品質が劣る場合は、えてして収量もよくないのではなかろうかと思っています。

そして、くず米の多さ。
生産者、流通業者ともに、今年はくず米が多いと言います。その分当然に反収は減っているはずです。
一方、特定米穀業者は喜んでいると伝え聞きます。
24年産の高騰は精米の小売にも反映されたわけですが、特に安いクラスのコメが強く影響を受けていました。ディスカウント店やドラッグストアに並ぶ一番安いクラスの精米、もう窓から見える米粒の外観からで素人にもその品質の程が判断できるような商品があります。中身は、「中米」という、くず米でも割とましなコメが使われています。このような商品は一般的な米穀業者よりも特定米穀業者と呼ばれるくず米業者の得意とするところです。昨年は下のクラスの原料が不足し、この中米の商品がえらく高くなってしまいました。数年前なら10kgで2,000円台前半だったものが3,000円くらいになりました。全然割安感がなかった。それが今年のくず米の多量発生により勢いが復活しているそうです。

ウンカ。
先日聞いた話では、とある海沿いの干拓地でウンカの被害が大きいところがあるそうです。自動車で通ったら、ヒノヒカリの田んぼがバッサリとやられていたとのこと。

あくまで、私の周辺でのローカルな話です。

2013/10/02

概算金と相対価格

先日、相対価格と概算金の差について話題になった時、ちょっと気になることがあったというか、なんか誤解している人がいたので・・・。

今年平成25年産新米の状況

24年産が高すぎたのではありますが、今年25年産の概算金は大きく下がりました。

現在の全国の作況は「やや良」と報じられていますが、地元の農家の情報やコメを見ての私個人の感想は「今年の出来は良くない」です。猛暑、日照のためか、どうも全体的に粒が痩せています。今日会った農家も、くず米の発生量が多いこともあり、昨年に比べ反収で1俵ほど少ないようだと話していました。
農家にしてみれば、思わぬ高値に喜んだ昨年から一転、安いうえに出来も悪いと、今年は面白くない年です。さらに追い打ちをかけるように、高すぎて売れ残った24年産がまだまだたっぷりと業者の倉庫に存在し、新米の動きは鈍いときています。

ただ、相対価格は概算金ほどには今のところ下がっていません。私の地元では、相対価格と概算金の差額は4,000円ほどあります。全国的にも4,000円程度の差というケースが多いようです。

ときどき見かける勘違い

ところで先日、両者に結構な差額があるのをみて「JAが儲けすぎだ」と勘違いして憤ってる人がいたのです。この人は、相対価格から概算金を引いた金額がそのままJAの懐に入ると思い込んでいました。

さて、一般にはわかりにくい用語かと思いますので、概算金と相対価格を大雑把に説明してみます。
概算金とは出荷時にJAから生産者へ渡される一時金、前渡金です。JAへの出荷というのは基本的に農家からJAへの販売の委託です。JAから民間業者へ販売されたときに初めて、生産者と買い手の販売が成立するのが本来。価格も民間への販売が成立して初めて確定するものです。ただそれまでには時間も掛かり、生産者の資金繰り等への配慮もあり、JAによる立替金として概算金が支払われています。
相対価格とは全農から民間卸売業者へ販売される価格。この価格が農家の販売価格です。ここからJAでの共同計算のための経費を引いたものが農家の手取りとなります。全ての販売が終了し、最終的な売上金額や経費が確定してやっと最終精算となります。
(ここまで収穫から1~2年かかるわけですが、もうその年の概算金受取やら、肥料代の支払やらと一緒くたにされたものが振り込まれたりで、自分は一体幾らでコメを売ったのか把握してない生産者がかなりいます。まあ、明細を見れば判ることなんですが、それをやらない人が多いのです。)

相対価格と概算金の差額から、共同計算のための経費(加えて、途中で概算金に上乗せで追加払いされた金額があればそれも)を差し引いたものが、最終精算時に生産者へ支払われることになります。
というわけで、相対価格と概算金の差額がまるごとJAの儲けだということはありません。

では、JAが差し引く、共同計算のための経費の内容、金額はどんなものか?
各JAによって施設や交通事情によるコストの差、さらに含まれる内容の微妙な違いもありますが、1俵当たり概ね1,000円~2,000円くらいのようです。

具体例

共同計算経費と精算の具体例を見ます。
これは全農島根県本部の資料です。この例は県全域での共同計算となっていますが、地域によっては単位農協ごとの共同計算もあります。なお、これは全農島根県本部での費用で、単位農協の経費は別にあります。
http://www.sm.zennoh.or.jp/rice/index.htm

この中の「平成23年産米県域共同計算にかかる経費目標額」という資料によれば、合計1,168円となっています。新米の販売を開始するにあたって、23年当時に経費はこれに収める予定ですよ、と生産者に対して説明したものです。
多いのは「流通・保管等に係る経費」で753円、倉庫の経費や運賃です。これは米屋の感覚からして高くはない。運賃1俵300円は、ある程度のボリュームがあるからこそ可能な金額ですね。一般的な農家個人では難しい。
ついで手数料が合計で223円。
「生産・集荷・販売等に係る経費」86円は広告代など。
「需給調整経費」100円は、古米の処理等に備えた予備費みたいなものでしょうか?

そして、23年産米の最終精算の結果がこれです。
「平成23年産米精算結果」
県域での経費の合計は864円と無事に目標額を下回ったようです。
販売代金は14,806円、既に支払われている概算金が11,917円で、このときの差額は2,889円。そこから全農島根県本部の経費864円と単位農協負担の経費507円の合計1,371円を差し引くと1,541円、うち33円は翌年産に繰り越され、残り1,508円となります。
ちなみに、上記の金額は、全銘柄・全等級の平均ですので、具体的な金額は品種や等級、その他の区分によって変わってきますが、概ね差額から引かれるのは1500円くらいということ。全国的にみて中庸な額ではないでしょうか。

再び25年産の話

25年産の相対価格-概算金の差額4,000円の話に再び戻ります。
地域により異なりますが経費は1,000円~2,000円。それを4,000円から引いた残り、3,000円~2,000円の余裕が相対価格には含まれているということです。
JAとしては今の相対価格で完売したいでしょう。最終精算に1俵当たり2~3,000円を追加すれば生産者にいい顔もできる。生産者側からすれば、それだけ上乗せの可能性が残っているわけです。
一方、消費・流通側からすれば、あと2~3,000円は下がる可能性があると解釈できます。JAも今の相対価格を押し通せればラッキーだが、おそらく無理と見ているはず、シーズン途中の値下げを想定しているでしょう。それがこの相対価格と概算金の差額に表れていると考えられます。

まあ、いずれにしてもこの差額がいくら大きかろうが、JAが差し引く金額ってのは別の部分で決まるわけで、今年の状況をみてこの部分でJAが汚く儲けているなどと勝手な思い込みで憤慨するのは、実におかしな話です。

2013/08/01

研ぎ加減、浸漬の具合はコメを見て判断するのが王道かと

ときどき、業務店のお客様のところで炊飯について聞かれたり、話をしたりする機会があります。食堂のパートさんなどに炊飯の説明をしてほしいといわれることもあります。

炊飯てものは、炊飯器に入れてしまえばほとんどブラックボックス。具合を見ながら火加減を調整したり、時間を調整したりが出来ません。
とはいえ、その炊飯器に入れる前の段階をしっかりとするだけでも炊飯の出来は大きく変わります。具体的には「研ぎ」と「浸漬」です。

パートのおばさんなどに説明するとき、よく訊ねられるのが「何回研げばいいのか?」、「何回すすげばいいのか?」、「何分浸漬すればいいのか?」など。何回とか何分とか具体的で分かりやすい答えを要求されるのです。
とはいえ、コメの状態、気温、水温など一定であるわけがなく、質問者が求めるような分かりやすく都合のいい答えは出来ません。「あくまでもコメ自体を見て判断してください。充分なだけ研いで、充分なだけ浸漬してください」と答えるしかありません。

実際、ネットでも書籍でも何回研いだらいいとか、浸漬も夏場は何分、冬場は何分などと簡単な言い方がされている場合が多いようですが、それではちょっと乱暴な感じがしていました。コメを見て判断できるようなアドバイスが必要です。

例えば、研ぎ加減なら、研いでるコメを握ってみて、そのばらけ具合が目安になります。浸漬の具合なら、浸漬米をつぶしてみてその砕け方が目安になるでしょう。その上で、「何分浸漬すれば大概は充分でしょう」など付けくわえることはありますが。
浸漬にかかる時間はコメの状態や水温に大きく影響されますので、季節の変わり目にどれくらいの時間をみておく必要があるか再度確認するとよいでしょう。

しかし、パートのおばさんらは「何回」とか「何分」といった数字を求めたがるのです。
どうも、失敗したときに「私は決められた通りにやりましたよ!」と言えるからのようです。自分で判断するという負担を嫌っているな、というのは見ていてわかります。言われた通りのことだけやっていたい、自分で考えたり判断したりするのはゴメンだ、という雰囲気です。


でも、それでは美味いご飯は炊けないのです。


2013/06/10

コメにつく虫

以前、知人から聞かれました。
「コメに虫がつくのは、それこそが無農薬の証拠だって言われたけど本当か?」
もちろん、そんな訳ありません。農薬を使ってようがいまいが、保管次第で虫はつきます。というか、今どき虫がつかない位に農薬が残留しているコメなど普通ないでしょう。

この知人は、農家から新米ということで買ったコメから糸で綴ったような虫の巣を見つけたため、本当に新米かと訝しんで確認したところ、上のようなことを言われたそうです。
確かに、収穫時期から見て虫が巣を綴るには早いかなと思えるタイミングでしたが、新米だというのは多分嘘ではない。想像するに、単にこの農家のタンクの清掃が行き届いてなかったのでしょう。隅に去年のコメと虫の巣が残っていた、それが今年のコメと一緒になって出てきたのだと思います。

一方、別の話になりますが、先日同業者との立ち話から。
この業者は、とある病院の厨房にコメを納品しています。ある日、「虫が出たすぐに来てくれ」と電話で呼び出しがあり、片道1時間かけて駆け付けたとのこと。行ってみると、ハイザーの中にコクゾウムシが一匹いたそうです。どこで入ったのか、納品時に既に袋の中にいたのかどうかは不明でしたが、とにかくその分のコメを交換して帰ったそうです。

まあ、ほっとけばコメには虫がついてしまうのです。どんなに厳重に防除しても絶対にゼロとは言い切れません。連中はちょっとした隙にでも入り込んで、卵を産みつけます。すでに農家から出荷される米粒の中に穴をあけて潜んでいることもあります。とくにこの季節は活動も活発になります。

最近TVで米びつ用の防虫剤のCMも見かけます。天然成分使用とのことですが、それを言うなら虫そのものや虫の排泄物も天然成分だったリするわけで・・・。
お勧めできる方法は、愚直に物理的に防ぐということです。

  • 米びつやハイザーは定期的に空っぽにして隅々を拭き取る。特にハイザーでは部品の裏側に巣を作られることがあり、ひどい場合は分解しての清掃が必要になる。
  • なるべくなら、コメは密閉できる容器に入れて虫の侵入を防ぐ。
  • コメや粉、麺をこぼしたままにしておかない。
  • コメは1カ月程度のうちに食べきれる量で購入する。
  • 米びつだけでなく、周辺も清潔に。
  • 隙間を好むので、丁寧にチェックすること。


ところで、昔々の時代にはコクゾウムシもタンパク源として一緒に食べていたなんて説もあります。コクゾウ、メイガの幼虫、コクヌストモドキなどのコメにつくムシは食べても害はないという人もいます。が、それは害があるということが示されてないというだけで、安全だと言い切れるものでもありません。なにより、気持ち悪いですから・・・。

まあ、消費者の方はあまり気にしすぎるのもどうかと思いますが、一方、商品として販売する側は流通業者、農家の別なく覚悟して闘い続けなければならない問題です。


ちなみにどんな虫がコメにつくのか、下記リンク先がわかりやすいです。
食品総合研究所:食品害虫サイト

2013/05/30

産地偽装のニュースに思う

最近、米穀販売業者による産地偽装の報道が多いです。
昨日も次のような記事を読みました。
東京の精米業者書類送検 コメ産地偽装の疑い - 47NEWS(よんななニュース)

事件の内容は東京都内の米穀店が、

  • 産地不明のコメ(未検査米ということ?)をブレンドして「宮城県産ひとめぼれ」として販売していた。
  • このようなブレンド米を特定の産地銘柄米として販売する行為は30年前から続けていた。
  • 昨年4月に計240キロを75,600円で販売。
  • それで不正競争防止法違反で警視庁に書類送検された。


また、FNNの記事(コメ産地偽装販売 精米店社長「本物よりうまいコメ作れる」)によると、
  • 偽装を行なっていたのは業務用精米の配達で一般向けの店頭販売では偽装はなかった。
  • 70歳の経営者は「自分がブレンドすれば、本物よりうまいコメが作れる」と語っている。
  • 2年間でおよそ145万円の利益を上げていた。

こちらの記事(ブレンド米を「ひとめぼれ」偽装 精米会社社長ら書類送検 - MSN産経ニュース)では、

  • 販売先は老人ホーム向け給食会社
  • 平成22年7月から平成24年4月までの期間に約25トン販売し140万円の利益。

ということがわかります。

まじめにやっている身としてはウンザリするような行為ですが、同業者としてこのような事件が起こる背景に関心が向いてしまいます。
以下、この事件について思ったことを書きます。

30年前

まず、30年前から偽装をしていたということ。
30年前といえばまだ食管法の時代。現在に比べて不自由な流通で、手持ちの原料で一定の食味を維持するためにブレンドは必須テクニックだったと聞きます。
そのためか、昔の人は往々にしてブレンド米に産地銘柄を表示して販売することに対し罪の意識が希薄だったりします。ちょうど今の回転寿司で、商品名とネタの本当の姿が違っていても味的にそれっぽかったら、なんとなくスルーされている事象と似たような感じだったのかな、と思います。
表示ルールも30年の間に変遷してきました。現在のJAS表示にも問題は多い。モノの本質を表すものではない、消費者よりも役人や生産者のための制度でしかないという批判もハズレではないでしょう。
しかし、だからといって現在の法を蔑ろにしていいものではありません。また、道府県レベルでの産地区分+品種という銘柄に対して消費者が抱くキャラクターイメージというものが所詮は虚妄であるというならば、法を遵守することでそれを明らかにして行くべきだと思います。

キツイ価格

240kgを75,600円で販売ということは、平均1kgで315円ですか。2年で145万円の利益というのも、恐らく粗利のことでしょう(マスコミや公務員は粗利のことを利益と雑に言う事が多い。)。25tでおよそ145万円だと1kgあたり58円、業務用の粗利としては数量次第ではこんなものかと。月に1tあまりの納入であれば、この程度の粗利でも回していけるでしょう。

315円で粗利58円なら、原価257円。1俵から精米54kg取れたとしても、13,878円/俵。
ちなみに、過去の業界紙を引っ張り出してみたところ、この期間中最も安いと思われる平成22年11月での宮城県産ひとめぼれ1等の市中価格は税別で10,800円/俵。23年に入ると高騰し始め、震災以降は拍車がかかり、24年4月の価格はなんと17,400円/俵。
それぞれの時点での精米販売価格が分からないので何とも言えませんが、いずれの時点でも宮城ひとめぼれを使用するには無理な単価だったのではないでしょうか?

平成22年11月の市中価格(商経アドバイス2010年11月8日)
平成24年4月の市中価格(商経アドバイス2012年4月26日)


これで搗精・配達してるわけですから、まあ、儲かってはいませんね。利益のためというよりも、損失を防ぐためといった方が実情に合っているのでは?
だからって同情はできませんが。

この程度の価格は、業務用ではありえないわけではないのですが、ハッキリ言ってしんどいレベル。自分なら、この価格で品種・産地の指定は受け付けません。価格に合うものから作らせてもらいます。いや、今シーズンならこの価格に合う原料の確保にも不安があるので、新規ならば取引自体を受けないかも。
産地・品種・産年を記載できる原料、つまり農産物検査を受けたコメを使うとすれば、まず1等は無理、2等でもこの価格はちょっとしんどい。でも3等や規格外を使って品質を落とすくらいなら、未検査米を使用して品種の記載なしで販売する方がいい。特に業務用ならば尚更です。
この米穀店もこの価格を守るならば、堂々と「複数原料米」で販売すればよかったのですが。
食味、銘柄、価格の3つはトレードオフの関係にあります。食味、価格が譲れないというのであれば、銘柄へのこだわりは捨てるしかない。食味、銘柄が大事というのであれば価格は高くなる。

しかし思うに、価格が価格だけに、この給食業者も銘柄にはこだわってなかったのではないでしょうか?たまたま「宮城ひとめぼれ」の袋に入っていたけど、味と価格さえ満足できれば銘柄はどうでもいい、気にしてないという感じではなかったのか?銘柄が重要な取引だと米穀店側が勝手に思い込んで、やたらと無意味な苦労をしたなんて話もありがちです。だとしたら、なんとも残念な事件です。

つまり

コメ以外の世界でもありがちですが、どうも皆さん能書きやら銘柄に判断を任せきっているのではないでしょうか。
もちろん、初めて買う時の目安として、産地や品種は便利な基準です。また、農薬、化学肥料の使用状況など五感では判断できないものに関しては表示を信用するしかありません。
しかし、そのコメが美味いかどうか、品質はどうかは、消費者自身が判断できることだし、自信を持って判断してよいことです。有名な産地銘柄であっても、口に合わなければ、そう言っても構わない。大事なのは、食べる人自身が満足できるかどうかですから。
有名産地の良食味品種であっても、個別のコメの善し悪しは生産者の管理や保管次第なのです。産地銘柄ばかりに頼ることを止めて、本質的な価値で判断できるリテラシーが消費者にも必要だと思います。コメの善し悪しは、どこどこ県産のコシヒカリだったら間違いがない、なんて安直なものではないのです。
評判の高い産地銘柄であっても全てのコメが美味いわけではないことを知っておいて頂きたいし、同時に運悪く美味くないコメに当たったとしてもそれでその産地銘柄すべてを否定しないで欲しいのです。
そういった原料のブレ、不安定さを解消して安定した内容の商品を提供することに米穀店のオリジナル商品の価値は有ります。本来は、そのためのブレンドなのです。
そういう基本的な理解の土壌が出来て初めて、瑞穂の国だとかコメの文化だとか自称できるのではないかと。

また、消費者・実需者の方にも妥当な値ごろ感を持っていただきたい。とくに業務店、食のプロであるならばその時点での相場に正しい値ごろ感をもってしかるべきです。そうすることで、悪貨が良貨を駆逐するような状況を避けられると思うのです。


しかし、このブレンド米、どれだけのものなのか一度食べてみたい。取り調べに対しても豪語するくらいだし、コストパフォーマンスはかなり高かった、のかな?。

2013/05/17

全農の24年産米概算金値上は集荷増に効果あったのか?

1ヶ月前のちょっと古い記事ですが。
全農は今年も同じことやるのでは?という噂もちらほらあるので。

全農のコメ集荷量3.1%増、7年ぶり前年上回る :日本経済新聞

昨年に全農が実施した集荷テコ入れは、熱心に農家へ顔を出して出荷を頼んだり、集落営農のキーパーソンを狙ったネゴなどの地道な行動も含まれると思います。
が、このテコ入れの目玉は、やはり概算金の大幅な値上げでしょう。
その結果、24年産米の全農取扱量が前年比3.1%増の276万3000トン、JAグループ全体では前年比1.9%増の367万2000トンとのこと。
記事には、この結果について肯定的な全農幹部の言葉が載っています。
 商社や民間集荷業者との競争が激しく、全農単独目標の300万トンには届かなかったが、集荷てこ入れで「長期低落に歯止めがかかった」(全農幹部)と強調。

しかし、あれだけの無茶な概算金値上げにも関わらず目標300万トンには程遠く、傍から見てこれでは失敗でしょう。
この微妙な増加すらも、補助金たっぷりの新規需要米のおかげで、実は主食用は・・・という見方もあります。

いくら衰退したと言っても全生産量の半分近くはJAグループが取り扱っており、その動きが与える影響は大きいです。
概算金の大幅値上げは、流通、加工、飲食業、最終的には消費者全般と、農民以外の国民全体をカバーする相当な広範囲に悪影響を及ぼしました。
国民生活に大きな犠牲を強いておきながらも、目標達成は失敗。全農は自分たちがかけた迷惑について全く自覚できていないようです。さらに本年度も同じことを繰り返そうとしているとすれば、単なる幼稚な甘えといって過言ではないでしょう。
現在、概算金に起因する高値ゆえ、流通での動きがひどく鈍っています。卸売業者などは高く買わされた在庫についても、ダンピングしてでも捌かなくてはならず、値崩れがおきています。これをかぶるのは中間流通業者。全農は後のことなど知らん顔。
実需の現場からは早期の関税撤廃を含むフェアな流通を待望する声がでるのも当然でしょう。


そもそも、概算金が上がれば農協の集荷率が上がるのか疑問です。

農協に出さずに業者や消費者に販売する場合、価格の設定は二通りあります。
一つは概算金や相場とは関係なしに毎年決まった価格で取引するやり方。
もう一つは概算金を基準にプラスアルファするやり方。

前者は生産者と買手の結び付きが比較的強い場合が多い。生産者の技術もそこそこにあり、安定した品質と量の供給が期待できる場合にはこういう付き合い方もできる。
またこういうコメは、一般消費者向け直売であったり、業務用であっても品質を価格より重視するちょっとこだわった店舗などへ向けられます。
難しいのは、年によっては相場と大きくかけ離れること。生産者から消費者までが一貫して相場とは関係ない値ごろ観を共有していることが必要。途中で誰かが、相場と比較して高いとか安いなどを言い出したら成り立ちません。
この手の価格設定は、そもそも良い時も悪い時も安定した価格での取引を継続することで相場のリスクを消すのが目的です。概算金が上がったからと言って、いきなり農協委託に切り替えということはあまりないはずです。もちろん、一部には目先につられて高い方へ流す生産者もいるとは思いますが。

後者の場合、概算金が上がれば民間業者への販売価格もそれにつられて上がるだけで、概算金が民間業者の買取価格を大きく上回ることはない。別に農協への委託が有利になるわけでもないのです。


わたくしは以上のように考え、概算金の値上げは集荷増に大して効果がないだろうと見ます。
一方、アンフェアな方法による米価の上昇はコメ流通の停滞や消費の低迷をもたらすでしょう。

本当に集荷率を上げたいのならば、生産者との関係の強化、職員の資質の向上、魅力的な企画などにより、生産者がJAへ委託することのメリットを自発的に感じることが必要かと。

さらに、JA取扱量へ影響するのは生産者側の意識、行動だけではありません。
買う側つまり卸売、小売、実需者からみて、JA、全農を通すことに強いメリットがなければダメでしょう。
むしろ見落とされているこっちがポイントかも?